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Colums コラム

2018年03月05日

【仕事観(3)社会の役に立つことを仕事にする】

今回の仕事観は「社会の役に立つことを仕事にする」です。

言わば「利他の精神」とも言うべきこの仕事観ですが、
聞こえが良い仕事観であるだけに(本心で思ってるかどうかにかかわらず)
様々なところで多用されます。

企業の理念などを見るとどこかしらに
「社会に貢献する」という類のフレーズが入っていますし、
面接で就活生が使うことも少なくなさそうな気がします。

公務員の方々はまさに「社会の役に立つこと」を求められていますよね。

また、「社会に貢献できる仕事でやりがいがあります」などと、
いわゆる「仕事のやりがい」の理由に挙げられやすい仕事観の一つでもあります。

さて、「社会の役に立つこと」それ自体はとても素晴らしいことなのですが、
この仕事観にも問題が生じるように感じます。
ひとつは、掲げる「社会のためになるの精神」が
あまりにも主流の道徳的に優位であるがゆえに、仕事観をこじらせやすいことです

社会のためになることに利己的な側面(自分の利益になること)が
付属していていけないことはないはずなのですが、
「利他」を重視するあまり「利己は許さない」となってしまう方が少なくない印象があります。

具体的には、「仕事で社会に貢献する」という利他的な仕事観に、
「利己」を下げるために「仕事は苦労するもの」という観点が加わる場合があります。
結果として「自分が楽しんで仕事をするなどどいう考えはあり得ない」というように認めなかったり、
楽しく好きなことをやった場合は報酬をもらえないと思えたり、善い仕事ほど薄給となったりします。

もうひとつの問題点は、「社会」と「仕事の顧客」は必ずしも一致していないことです。

公務員であれば「社会」が「仕事の顧客」であるので大丈夫(?)なのですが、
私企業に勤める場合、直接のお客さんは「社会全体」ではなく、あくまで「社会の一部の方」です。

もちろん「社会の一部の方」に物やサービスを提供することで
その方々がさらに他の人に物やサービスを提供できて・・・
という連鎖反応で結果として社会全体 にちゃんと貢献できていることは多いと思います。
ですが、「社会に貢献したい」という仕事観が強い場合、
仕事の顧客が狭い分野のローカルな人たちであったりして
「直接的に社会に貢献できている」「大きく社会に貢献できている」
という実感が得られないとその仕事観が満たされない可能性があります。

この仕事観が普段の仕事内容で満たされない結果、
無理やり組織の中で社会慈善的な活動への舵取りを推進して、
後述の個人重視や組織重視の仕事観の方と対立してしまうことも時折生じてしまいます。

ですので、社会貢献の仕事観を持った上で私企業等に勤めようとする場合は、
限られた顧客を対象とする中でどのような形で社会に貢献したいのかまで
具体的にイメージ出来ている方が良いかなと思います。

何を軸にしても、そこから超えていかなければならない心の壁があるようです。