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Colums コラム

2018年02月26日

【仕事観(2)得意なことを仕事にする】

今回の仕事観は「得意なことを仕事にする」です。

前回お伝えした通り、仕事というのは顧客に物やサービスを提供する行為ですから、
基本的にはクオリティが高い方が顧客に好まれます。
ですから、顧客のことを思えば、仕事は各自が得意なことをやるべきというのは理には適った話です。

経済学で言う比較優位の原理も、個人個人が得意分野を仕事にするように推し進める作用があります。
さて、「得意なことを仕事にする」にも当然問題点があります。

ひとつには、理に適った「得意なことを仕事にする」も
情には適わないことがあることです。

例えば前項の逆で「得意なこと」が「好きなこと」とは限らなかったり、
次項と逆に「得意なこと」が「社会の役に立ってる」という実感を得られるものでなかったりします。

私が番組でインタビューした方のお話ですが、音楽家の親御さんが子どもにピアノの英才教育を施して、
実際にその子もピアノの才能があり、全国でもかなりの能力でした。
当然親御さんはその子はピアニストになるだろうと思っていたら、
当の本人は本当はピアノが好きではなくて、実は看護師さんになりたかった・・・
という驚くお話でした。
ここまで極端でないにしろ、得意なことがやりたいことではないということは現実に起こりうる葛藤です。

一度資格なんかを取ってしまうと、そこから脱しにくいというのもこの「得意なこと」の呪縛の一つでしょう。
もうひとつの問題点は、「自分の得意なこと」というのは案外分からないということです。

得意かどうかはやってみないと分からないわけですが、世の多くの仕事は社会人になるまで経験することができません。
実際に社会人になってみて薄々自分がこの仕事に向いてるかどうかが分かってきます。
しかし、日本のようにまだまだ転職が一般的ではない労働社会では他の仕事を容易に試すことができません。
これでは「自分の得意なこと」を見定めようにも比べようが無いのですからどうにもなりません。
かといって、「自分な得意なこと」を探して言わば「自分探し」を続けるのも考えものです。
「得意なこと」というのは才能だけで決まるのではなく、努力の量も影響してきますから、
いつまでも「自分の才能探し」だけしていては「才能」を「得意なこと」に育てる熟成期間がいつまでたっても始まりません。
結果としてこれでは「得意なこと」が得られなくなってしまいます。

人財育成もそのような視点が必要かと思われます。
程よく色んな自分の能力を試せて、程よいところで自分の何らかの能力を伸ばすステージに
上手く移行できるような職場のシステムづくりが今後もっと必要とされるのではないかと思います。