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Colums コラム

2018年02月19日

【仕事観(1) 好きなことを仕事にする】

前回お伝えしたように、仕事の軸をどこに置くかによって
起きることを分析したことをお届けします。

人によって働く理由は様々です。
食べていくためと割り切っている人もいれば、
自己実現の一部と思っている人もいます。
その仕事観(仕事の価値観)は本当に多彩です。

仕事観が多彩なこと自体は非常に自然なことと思うのですが、
「なぜ働いているのか」「仕事とどう向き合ってるのか」
人によって仕事観が違うせいで、すれ違いが起きることも少なくありません。

今回は「好きなことを仕事にする」仕事観です。

「好きなことを仕事にする」というのは一つの働き方の理想として
挙げられることが少なくありません。
好きなことを仕事にしている分、楽しく仕事が出来て幸せだろうということでしょう。
絵を描くのが好きでイラストレーターになるとか、
子どもが好きなので幼稚園の先生になるとか、そういった仕事観です。
私自身もこう生きなきゃ!と思って向かった時もありました。
しかし、それだけ理想として言われるということは、
「好きなことを仕事にできる人」は数少ないという厳しい現実を
反映しているとも言えるのではないでしょうか。

なぜか!
それは、「好きなことを仕事にする」という仕事観には
いくつかの問題点があるからです。

まず一つには、好きなことを仕事にすると、
好きなことが好きじゃなくなる可能性があることです。
アマチュアとして好きなことをやる時というのは、自由にやることができます。
まさに自分の好きなことを好きなようにやるわけで、要は自己満足なわけです。

しかし、仕事として、プロとしてそれをやるとなると、
顧客を満足させなくてはならなくなります。
当然、自分と顧客の好みが違う場合は少なくありません。

好きなことを自分の好きなようにすることは出来なくなるので、
そこにストレスがかかります。
すると、好きなことが変質してしまったように感じて、
好きだったはずなのによく楽しめなくなってしまうことがあります。

これを乗り越えて、顧客の好みも踏まえて
仕事を仕上げることも好きになることができれば良いのですが、
結局のところ自分は自分の好きなことを
自分の好きなようにやりたいだけだったとなれば
「好きなことを仕事にする」という仕事観が満たされない悲劇になりかねません。
仕事の依頼がなくなることもあります。

二つ目は、後述の他の仕事観にも関連してきますが、
「好きなこと」だからといってその能力が必ずしも高いとは限らないことです。

野球を好きな方というのは日本全国で大変多くいらっしゃると思うのですが、
その中でプロになれる方はごく一部です。
野球ほどではないとしても、仕事として「好きなこと」をやろうとすれば、
何事もプロとしてのクオリティを求められますから、
「好きなだけ」ではダメという現実があります。

この辺りの現実の厳しさが、
「好きなことを仕事にする」という仕事観を
一つの理想型として掲げる背景にあるんだと思います。

三つ目は、「好きなこと」を仕事にしていると、足元を見られやすいことです。
これも他の仕事観に関連してますね。

デザイナーさんなどのクリエイター系の職業の方に時折あるようなのですが、
「あんた好きでやってるんだから、安くしといてよ。勉強勉強・・」
という具合に「好きなことを仕事にできて幸せなんだろうからお金は要らないだろ」と、
何故か報酬を負けられてしまう現象があるんですね。
自分もそうでしたが、芸人やMCの仕事など、ただでもやる機会が欲しい。
と思っているため、それでもいいと思ってしまう、同じような現象を体験しました。

「好きなことを仕事にする」という仕事観で生きるときに、
解決しにくい問題はまだまだあり、それをわかって選択することです。