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Colums コラム

2017年06月26日

【大切なのは目には見えないもの】

人のやる気、モチベーションに働きかけるものは2つの種類があります。
1つは「外発的モチベーション」で、頑張ることで物質的な報酬や評価を得ようとする意欲です。
もう1つは「内発的モチベーション」で、これはやっている仕事や遊びの内容自体に
面白さや 充実感などを感じて頑張ろうとする意欲です。
どちらもモチベーションの源にはなるのですが、
一般的に内発的モチベーションの方が集中力が高く 良い結果を出すと言われています。

ですからリーダーはこの内発的モチベーションに着目する 必要があります。
ただ、この内発的モチベーションはちょっとしたことがきっかけで
簡単に外発的モチベーションにシフトダウンしてしまうことがあります。

例えば、「会社の周辺の道路掃除」を自ら進んで行っていたとします。
金銭的には無報酬です。
これらの行為をすることで自分自身の中での満足感や通り過ぎる人から
「ありがとう」と 言われるひと言がその人にとっての報酬であり、
これは内発的動機付けによっての行動です。
ある日、この行為に対して金銭が絡んだとします。
「道路掃除をしたら1,000円」となった途端に、 金銭を求めての行動でなかったにもかかわらず、
外的報酬をもらわないとその行為が したくなくなってしまうのです。
これはアンダーマイニング効果と言われるものです。
無意識のうちにその行為に対して求める対価(価値)が置き換わってしまったのです。
人の役に立つためという思いからの行動が、金銭を得るための行動に変わってしまい、
金銭が得られないなら行動する意味がないと無意識に判断するようになるのです。
 
部下の仕事をきちんと評価し、それを給料(金銭)に反映させることはとても 大事なことです。
そして金銭的報酬がモチベーションを高める要因となることは事実です。
ただ、みなさん自身の経験を思い出してみてください。
給料が上がった直後は、 仕事に対するモチベーションは上がったと思います。
これが1ヶ月後、 2ヶ月後どうだったでしょうか。
外発的モチベーションの金銭は、やる気を持続させるという点では、大きな期待は持てないことが分かります。
そればかりか、時には アンダーマイニング効果といった
やる気の足かせにもなり兼ねない要素を含んでいるため、
やる気の持続には適切な方法とは言えないと思います。
 
逆の見方をすれば、仕事には金銭的報酬が必ずついてくるので、
リーダーはより 「内発的なモチベーション」に目を向ける必要があると言えるのではないでしょうか。
ご自身も部下も外的報酬とは全く関係のないところで、モチベーションを生み出せるかどうかです。

しかし、これらは直接生産性に結びつくとは言い難く、
また効果を数値化することも 出来ないので分かりにくいものでもあります。
言ってみればこのような取り組みにあてる 時間は一見非効率的な時間です。
しかし実際にはとても大切な時間なのです。
内省・内観・対話。
そこに価値を見出せるリーダーが増えてくると会社は変わってくると思うのです。