自分を律していない人は他人も律することができない。と言われます。
特に部下は上司、トップマネジメントが何を見ているのか、
何を語るのかということを、思う以上に大変よく見ています。
部下が上司をよく見るのは、人間として信頼できるかを判断するためです。
まず、リーダーとして問われるのが、能力と人柄。
能力については、物事をどう捉えているか、
それを根拠に適切なタイミングで判断をしているかどうか、
医者であれば症状から診断を下し、きちんと治療の道筋を立てる力があるかどうかです。
人柄については、常に向上心を持ち、努力ができるか、
仕事の一番大変な部分を引き受けることを厭わない姿勢を持つか、
判断や振る舞いの根底に温かい愛情や思いやりがあるかどうかといったことです。
次に、違いを受け入れる対人能力です。
対人能力と言っても、スタッフと仲良くでき、いい雰囲気にすることではなく、
究極的には対立やトラブルをどれだけマネジメントできるかです。
誰でも嫌なものです。
このときに大事なのは逃げないこと。
問題は放っておいて、いい方向に向かうということはありません。
何であっても人と対峙し、自分が何を問題視しどうしたいのかを絞り出し、伝え続けなくてはなりません。
仮に相手が動かなかったとしても、それすら、リーダーの責任です。
問題の放置は許されません。
部下のせいや周囲のせい、情況のせいなど、もってのほかです。
また、組織を運営する立場だと、考えが違う人を排除することを
問題の解決策として選択する人もいるかもしれません。
しかし、変革の時代にそれは大変危険だと思うのです。
坂本龍馬の有名な話で、みんなで集まったときに、
みんなが龍馬に対して「坂本先生」と敬意を払っている中で、
一人だけ敬意を払わないで「坂本!」と言っている人がいたそうです。
それを見て「あいつを刀で切ってしまおう」といった仲間がいましたが、
龍馬が「ああいうやつがいるからいいんだ」と言って組織の中に留めておいたという話があります。
違う文化や意見は組織に摩擦を起こすこともありますが、
違いは人を育て、イノベーションを萌芽させ、引いては組織を発展させるということだと思います。
理解をしないから、相手の考えが気に入らないからといって排除するのではなく、
リーダーはそれをも組織の一つの素養として包含しながら、前に進んで行くような、
強い組織を作ることに力を注ぐべきです。
一言で多様性を受け入れましょう。といっても、その実態は、簡単ではありません。
話してわかる人ばかりではありません。期待を裏切られることも山ほど・・。
そんな状況下の中でも、対立や違いに対して、
絶えず相手と話をしてわかり合おうとする努力も惜しまないでほしいと思います。
多様性を受け入れて、考えが違うことを理解しながら、常に理解してもらうことを諦めない。
少し矛盾していますが、この矛盾を受け入れることが大切な気がします。